物語がはじまるの

私は一目惚れ体質だ。今まで誰かを好きになるときは大方、後ろから背中をとんっと押された勢いで転がり落ちるように好きになったり、風が吹き抜けるような時間でその人のことを「自担!好き!」と思ってきた。いや、思い込んできたという方が正しいのだと思う。そして思い込みゆえか、降りてから次に降りるまでのスパンが短い。3ヶ月弱、なんていうこともあった。ファンである時間の長さに良し悪しがないのはわかっている。でも悪いとか良いとかではなく、とにかくすぐに火がつき一気に燃焼し空気がなくなるというのがいつものことだった。

 

けれど、それなりに生きていると例外もある。二年前に横浜アリーナで行われたジャニーズJr.祭り。東京B少年というグループと、こんな人たちがいるんだなということを知ったのはその時。それから一ヶ月後にシアタークリエでの公演に入ったときには、B少年とは別のところでいつものように雷が落ちたような衝撃を受けていて、それからの二ヶ月は悔しくて眠れなかったり、どうしようもないことに苛立ったり、すべてのことが悲しかったり、かと思えば頼もしいなかっこいいなと嬉しくなったり、ひたすら心が忙しくそれでも楽しくて仕方ない日々を過ごした。そんな中雑誌を読んだりテレビを見たりしていて気が付いたら、なんかいいな…気になるな…好きかもしれない…とぼんやり思うようになったのが大昇だった。夏がやってくる少し前のこと。

 

用がないのに人に話しかけたり、テレビのカメラでも「教室でスマホを向けられているのか?」と思うくらい素直にアピールする積極的なところ。*1 切り替えるのがうまいところ。*2 遊園地に行った時に、ジェットコースターが苦手な金指くんと一緒に他のメンバーが戻ってくるのを待つところ。*3 ジャニーさんに「やりなよ」と言われて始めたドラムを一生懸命練習していて、ドラムスティックを持ち歩いているところ。先輩の懐へひょいっと入っていくところ。*4 グループを俯瞰していてメンバーの役割を考えているところ。*5 人のことやまわりをよーく見ていて、それが鋭さや本質を見抜く力につながっているところ。ひとつ知るたびに、やっぱり好きかもしれない、と思いながら。リア恋だ、なんて言いながら。いつかのスヌーピー展のタイトルが「しあわせは、君をもっと知ること」だったけれど、まさにそれだ。ゆっくりそしてちょっとずつ知っていくことが嬉しかった。

 

よーく見てみたりちょっと離れたりしながら約一年半。天真爛漫な男の子だった大昇だけれど、もう子どもと大人の間にいる。本当に本当に変わったし、変わらなくもあるし、大人になったし、年相応で思春期真っ只中だなぁとも思う。変わったといえば、King & Princeがデビューしてはいびがアンダー20のJr.を引っ張るような位置につくようになったこと。少年倶楽部を見ていて、気が付いたらゆうぴーと一緒に番組を進行している。一年前は思ってもみなかった。私は小さい頃から変化や何かに向き合うことが本当に苦手だ。不安でいっぱいになってしまう。何よりもこわい。新年、新年度、新学期。今も昔と全く変わらず、憂鬱で憂鬱で逃げ出したくてたまらない。向き合うのはしんどくてすぐに泣きたくなる。何千回も深呼吸をしてやっとエイヤっとその方向に足を向けることができる。けれど、大昇が変わっていくことに関してはさみしいけど嫌じゃないし、向き合うことをあまりこわいと思わない。そこまで不安にならない。大昇が楽しそうだったら、しあわせに生きていたら、それがなにより。そのことに気付いたのが二月の一番最後の週。うちわを作ろうと思った。

 

「SHOCKに出たい」「PLAYZONEを復活させたい。昔のビデオを見ている」「舞台で活躍したい」という言葉に、夢は大きくいこう!とかなんとか思っていたけれど、言葉にできるということは仕事をしていく上で自分の気持ちや考えに素直なのだと思うし、言葉にすることは覚悟があるということなのだと思う。大昇が言葉にできるのは、コツコツ地道に努力をしているから。チャンスをものにし、どんどん挑戦していく歌。SnowManSixTONESの間にぽーんと放り込まれたように出演した少年たちで経験したお芝居。去年の12月から2ヶ月に渡って上演されたジャニーズKing & Princeアイランドでは、大昇が好きで憧れている舞台SHOCKやPLAYZONE MASKでも使われた楽曲、Let's Go To TOKYOでセンターに立つことがあった。言霊だ。口に出す、言葉にする、ということが周囲だけでなく自分に与える影響を知っているのではないかと思う。

 

短いスパンで降りることが良い悪いではないとわかってはいても、私にとってすぐ降りるところはめちゃくちゃコンプレックスだ。引け目がありすぎて、その気持ちをなかったことにすることを考える。今回も一瞬、なんとなくうやむやにしようかと思った。けれど、それでは誠実さのかけらもないじゃない。言葉にしたのは、誠実で、正直でありたいと思ったから。それはなぜかって、好きだから。

岩﨑大昇くんに、降りました。

*1:B少年として初出演のMステで、CM前にカメラにわーっと寄ることができる人だ。本当にすごい 

*2: いちいちへこんでいられない、と学んでいる。もともとというより後天的だ

*3:大昇はジェットコースター大好き

*4:京本大我先輩によくしてもらっている。きょうもっちゃんの優しさももちろんある

*5:金指くんが入って間もない頃POTATOの龍我くんとの対談で、それぞれの役割を提案していた